読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

前田紀貞建築塾 実務プロコースの記録

前田紀貞建築塾での「実務プロコース」の様子を追ってゆきます

実務プロコース第 7回目:実施図面の方法

第07回目:実施図面の方法

 

さて、第7回目:前田紀貞建築塾 実務プロコースは「実施図面の方法」についてです。

 

実務プロコースは、既に実務をしている人たちを相手にしていますので、当然、「実施図面」というものが重要になってきます。

 

今回は、前田紀貞アトリエの大番頭:白石隆治が講師を務めます。

白石がアトリエに来てから10年が経ちますが、その間、アトリエの代表作を次々と世に送り出しています。

 

例えば、

 

CELLULOID JAM

f:id:procourse_maedajyuku:20141007074021j:plain

 

TORUS

f:id:procourse_maedajyuku:20141007074329j:plain

 

ORANGE

f:id:procourse_maedajyuku:20141007074057j:plain

 

ああ、いずれも「実施図面」の描き甲斐のありそうなものばかりですね (^_^;)。

それに加えて、これらは「現場監理」もとても大変そうです。こちらの話も、後日、されることになっているようで、とても楽しみです。

 

しかし、今回はひとまず「実施図面」ということで話が成されました。

 

 

まず白石隆治講師は

実施図面とは建築作品実現のための「手段」に過ぎない

というところから話を始めました。

そこで、今回はそれについてのお話でした。

 

それは、前田所長が

(建築では)「図面を描くな」

ということを実施図面で具現化する為のことらしいです。

 

つまり、図面を描いていると、描くことそれじたいが目的化してしまうことがありますが、決してそうしてはいけない、ということでした。

 

それはどういうことなのか……

まず、建築が誕生してくるには、3つの段階があります。それは、

「PLAN →   DO  → SEE」

言い換えると

「計画  →    実行    →  検証」

 

つまり、

・最初に空間概念・デザインとしての「計画」が確固としてあり

・次にそれを的確に「実行」する為の手法があり

・そして、最後にそれが本当に実行されているかの「検証」をする

ということなのでしょう。

 

 

これを具体的な建築の図面行為にしてみると、

「基本計画  → 実施図面 → 施工図面」

となります。

 

順番にもう少し言えば、

****************************************************************

「PLAN」とは、

 

コンセプト(建築の根本思想)

      ↓

クライアントへの説得(プレゼンテーション)

      ↓

基本計画(構造、素材、ディテール)

 

****************************************************************

「DO」とは、

 

実施図面(詳細計画)・・・コンセプトを建築化

      ↓

検討

 ※スケッチ、CG、模型(原寸1/15~1/30)

****************************************************************

「SEE」とは、

 

施工図のチェック及び承認・・・工事、制作のための最終図

 ・実施図面の「再検証」

 ・コンセプトが本当に建築化されているか?

      ↓

完成物の微調整 ・ 次工程の調整

      ↓

建築作品の実現

****************************************************************

 

となります。

 

さて、ここでひとつ例を取って話が成されました。

 

ここに最初のスケッチがあります。

これが

最初の「PLAN」です。

 

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007080153p:plain

 

これはまだ走り書きのようなものなので、「空間イメージ」というしかありません。

でも、建築はいつも、こうした「建築家の頭の中」からスタートします。

 

この「頭の中」が「PLAN」ということになるのです。

 

因みに、このスケッチが示しているのは

「内の内は外」

という「生命体細胞の内/外の関係性」を建築に翻訳することです。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007080713p:plain

上の3つのダイアグラムでいえば、

 

・一番左:都市に対しての「内部」を作る(ピンク色)

・真ん中:その中に更に「内部」を設定する(薄いピンク色)

・一番右:それを「外部」にする(緑色)

 

という手順です。

つまり、

外構壁(外)で囲われた建築(内)の「内内部」に「THE=外部」をつくる

こと、これが最初の「PLAN」だった訳です。

 

当然の話ですが、まずはこの「PLAN」が無いと出発のしようがありません。

所謂、コンセプトというものですね。

それは、建築家の情念のようなものからやってきます。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081115p:plain

 

因みに、これを模型にしたのが上です。

左:まず都市から外部を切り取る

中:そこに内部としてのボックスを挿入する

右:その閉鎖されたボックスを「ザ=外部」にする

 

という手順です。

 

 

 

さて突然ですが、

下の公園みたいな光に満ちた空間は何でしょうか?

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081331j:plain

 

そうです、これこそが「内の内」という「ザ=外部」なのです。

 

今回の話は、この「ザ=外部」を作る為の

その為の「実施図面」の描き方、といことになります。

 

 

 

それには、この「公園」みたいな空間を実現するには

まずは開口部に

それを支えるディテール

が必要です。

 

これが二番目の「DO」です。

 

つまり、

ディテールとコンセプト(空間の質)はいつも絶対に切り離してはならない

ことになります。

 

以下がそれを実現する為のトップライトのディテールです。

 

基本は、

「トップライトが無いように見えること」

です。

 

ディテールでは、

「美しい洗練されたデザインのディテールより」より「それが無いように見せるディテール」の方が遙かに難しいとのことでした。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081827p:plain

 

下から見上げた時の角度の検証、

各部材の見付/見込の検証、

防水性能の確保、

無駄に部材を使用しないこと、

 

等々、沢山の方向からの最適解を得ようとします

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081836p:plain

 

無論、壁内部との取り合いも欠かすことはできません。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081846p:plain

 

トップライトですから、そこに結露しないような工夫も重要です。

 

こうしてできたのが、この写真のようなものです。

f:id:procourse_maedajyuku:20141007083910j:plain

f:id:procourse_maedajyuku:20141007082443p:plain

 

 

確かに、あれだけ複雑に見える「実施図面」ではありますが、

その汗と労力が全く見えないところが凄いです……

 

私も早く、このような図面を描けるようにならねば…… (-_-;)

 

 

そして、三番目の「SEE」です。

こちらは、現場での制作図による原寸検討です。

今迄、1/5〜1/10スケールで描いていたものを、本当に実寸で可能かどうか、

これを現場に入った段階で検証します。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20141007081854p:plain

 

上は、その時のサッシュ屋さんと描いた図面です。

この段階では、当然、最終的な施工の可能性、瑕疵が発生しないような検討も成されます。

 

 

以上が、

「内の内は外」

を実現する為の、トップライトの納まりを進めてゆく為の

「PLAN → DO → SEE」

でした。

 

他にも、幾つもの例が挙げられましたが、いずれもこの

「最初のコンセプトを如何に忠実に実現するか」

という点では、全く同じ思想のもと、各図面が制作されていました。

 

 

そして、白石講師が最後に言ったことです。

 

「PLAN DO SEE」を実現するために必要なこと」

 

それは、

 

「最後まで忘れないことだ」

 

何を?

そうです、

 

「建築の根本思想を」

 

こうしたことは、白石隆治講師の10年に渡るアトリエでの鍛錬から来ているものなんだなあと、

横で聞いていた私は全身にビンビン感じた次第です。

 

 

 

お疲れ様でした。

 

(前田紀貞建築塾塾生団体 AA)

前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/