前田紀貞建築塾 実務プロコースの記録

前田紀貞建築塾での「実務プロコース」の様子を追ってゆきます

実務プロコース第1回目:概要

第一回目:実務プロコースでやること

f:id:procourse_maedajyuku:20140812113247j:plain

前田紀貞建築塾の「実務プロコース」は、既に建築を職業としている人を対象として行われているコースです。

 

前田紀貞は大成建設設計本部出身という、建築家のなかでも少し特殊な履歴を持っています。

一般的な“建築家アトリエで修行をして独立”という純粋培養コースではなく建設業の現場監督として社会に出て初めての建築を学びました。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20140812115807j:plain

また、前田紀貞のいまひとつ特殊は、

大学の専門が(ハイデッガー道元による)「建築論」であったこと

です。

 

このため学生の頃から、目立ちやすい“かたち”(花)ばかりを追い求める癖が付くことはありませんでした。

沈思黙考する時間が長かったことが、今の建築感や創作法へも由来したことと想像できます。

 

 

f:id:procourse_maedajyuku:20140812113807p:plain

 

さて、前田紀貞アトリエでは事務所開設以来、設計行為を行うなかで一貫して「ルール」という概念が大切にされてきました。「ルール」とは、「建築が誕生してくる“理由”」を大切にする、とことに由来しています。

「格好いいから」「使い易いから」という表面的検証からだけではない、

【世界のなかに産み出されるべき建築】がどうしても誕生してこなければならなかった、その「根拠」を問おうとします。

f:id:procourse_maedajyuku:20140815124810j:plain

簡単に言えば、空間や形が誕生してくる裏に、ひとつの「ルール」設定をする、ということです。

それは、サッカーが

「11人でやります、手を使ってはいけません、オフサイドは禁止です、、、、」というような「ルール」

というルールの下で行われているようなものです。

詳細は、アトリエのホームページを御覧ください。

 

そしてこの「ルール」は、最近では「アルゴリズム(アトリエ作品)」という方向に発展しています。

 

 

また、前田紀貞アトリエにとっては、「建設業」も「建築論」も「ルール」も「アルゴリズム」も同じ根からやってくるものと考えます。

f:id:procourse_maedajyuku:20140815125327j:plain

加えて、私たちのアトリエでは、「典座」というバー(建築サロン)もやっていますが、こんなものまでもがアトリエの建築に必要不可欠なものとなっています。

 

 

さて今迄 「実務プロコース」には、社会に出て数年の方、既に御自身の事務所を主宰されている方、大手設計組織の取締役クラスの方々まで、本当に様々な方がいらっしゃいました。そのなかで、世代や立場を越えた皆の交流や縁も産まれてきました。

 

f:id:procourse_maedajyuku:20140812114148p:plain

塾のコースとしては他にも、

 

【設計演習コース】

【卒業(修士)設計コース】

【アルゴリズム建築コース】

などありますが、

 

それらとは一線を画す「実務者用コース」

=【実務プロコース

簡単に言えば、前田紀貞が建築に関わるようになってからの35年間ほどのノウハウを惜しげも無く伝授するコースともいえます。

 

初日は、簡単にこれからの講義内容の紹介が為されました。今回は、ブログでもまずはその概要の紹介から。

 

第01回目:建築家は「世界」をどのように観ればよいのか?

-建築家はまずは「世界」をしっかり見ないといけません。視力0.5の人が「ある世界」を見ていたとしても、それは視力1.5の人が見ているそれより遙かに痩せているものです。当然のことです。同じことが、「創作の視力」でも言えるのです。見ているつもりが実は見ていない、そういうことです。では、「創作の視力」とは何か?そんな回です。

 第02回目:建築家は今の時代、何を「建築の問題」とすべきか?

-私たちが次に呈示すべき「現代建築」とはどのようなものなのか?実はこのことは、建築界でもなかなか問題にされることがありません。私たちは、いつまでも「近代建築の焼き直し」をしているのでは甲斐もありません。だからこそ、「現代建築」というものがどんなものなのか、そのことについて知らなくてはなりません。

第03回目:“コンセプト(理論)と“かたち”(実践)の関係はどのようにあるべきか?

-「コンセプト」(理論)と「形」(実践)はいつも、建築を創る時に大きな分かれ目となるものです。これらをどう扱えばいいのか。無論、こういうことを言うからには、【コンセプト → 形】という、あまりに短絡的で古くさい図式ではもはや建築は捉えることができない、ということをお伝えしたいのです。

第04回目:「言葉」はどのように扱えばよいのか?

-コンセプトにしろ、プレゼンテーションにしろ、コミュニケーションにしろ、スタッフたちへの指導にせよ、すべての意志疎通は「言葉」を以て行われます。しかしながら、本当の意味での「言葉」を遣える者はごく少数であることも確かです。だからこそ、「言葉なんてそんなに問題にするべきことなのだろうか……」という考えになるのでしょう。しかし、「ああ、言葉ってこういうことだったのか……」という目から鱗になるに違いありません。

第05回目:プロ用のプレゼンテーションシートの効果的な作り方は?

-設計事務所というものは、意外なほどプレゼンテーションテクニックが低いことが通例です。建築とグラフィックデザインは違うものだと思い込んでいるのかもしれません。でも、ちょっとした工夫でプレゼンテーションが飛躍的に効果を持つようになるのです。

第06回目:創作や実務での“自己批評”とは何か?それはどのようにあるべきか?

-思想にしろデザインにしろ、今、自分が試作していること 創っているものが、創作世界のなかで一体どんな位置を締めているのか?どうしても自分自身の創作の道筋が見えない経験は無いでしょうか。それは山道の中で方位磁針も持たずに無闇に歩き回るようなものなのです。“自己批評”とはそんな創作の指針のようなものといえます。

第07回目:プロ用のCGの描き方について

-手書きのスケッチや絵画でも同じことですが、結局、CGであっても“絵心”が要となります。CGが絵として力を持つ、その効果的なテクニックについての伝授です。

第08回目:建築作品の実現にあたって「実施図面」とはどのようなものであるべきか?

-建築設計では、ただ単純に実施図面を描けばよいものではありません。最初の思想を如何にして図面に落とし込むのか。これは自動的に行われるものではなく、意識的にそれをすることが必要です。これができないと、「思想と形・空間」はいつまでたっても分離したままです。建築家として、どう図面に向き合えばいいのか、そのメソッドについてです。

第09回目:コンセプトとディテールの作り方のコツとは?

-ディテールを「美しい納まり」と考えているだけでは、本物の建築に近づくことはありません。それが、建築家の思想とどうリンクするのか、どう空間が存在してくるのか……。そうした視点からこそ、ディテールは検証されるべきなのです。

第10回目:見積書への対応、提出された見積もり金額を減額するコツは?

-いつも頭を悩ませる金額オーバーの調整……。これがうまくできないと、結局は建築家の提案すべき思想が実を結ぶことはありません。工務店や建設会社から出てくる数量や数字を如何にして減額するか、そのテクニックについてお話します。

第11回目:現場監理行為で重要なこと

-設計事務所と工務店/建設会社の向かうべき方向が違うことは多々あります。建築物の品質について、工事に関わる予算について、等々……。それら、互いに利害が同じではない人たちとどのように上手にやってゆけるのか……。そして更に、どのようにして困難で面倒臭い施工を実施へ漕ぎ着けるのか……。妥協するでもなく強要するでもない、その方法についてお話します。

第12回目:瑕疵を作らない為のメソッド

-瑕疵は、設計事務所が一番起こしたくないもののひとつです。しかしながら、設計者の知識不足、現場との折衝不備、クライアントへの説明不足、各人の不注意などが原因で生じてしまうのも事実です。よって、これらをできるだけ生じさせない為の工夫・注意点についてお話します。また、最悪の場合、瑕疵が生じてしまった場合、建築家はどのような対処を引き受ければよいのか、そうした心得についても教示できることと思います。

第13回目:これだけは建築家が知っておくべき法律の基本

-設計事務所の行う事業のなかには、建築基準法のみならず、設計/監理のなかで生じてくる様々な問題、契約、支払い、インフォームドコンセント、工務店/建設会社とのコミュニケーション、瑕疵の対応、その他沢山の法律知識が必要となってくる局面があります。建築家がまずは最低限知っておかなければならない法律の知識について、わかりやすく説明します。

第14回目:スタッフ教育の作法

-スタッフが“従業員”である限り、本当の意味で建築家として事を成すことは難しいでしょう。すなわち、スタッフとある意味、「家族」のような関係になるにはどうしたらよいのか。更に言えば、建築家として人として何を大切にすればよいのか、等についての回です。

第15回目:現場セルフビルド工事の方法

-予算配分を調整してゆくと、必然的に設計事務所のセルフビルドになる分野が発生してくることがあります。しかし、中途半端な知識での「施工」は上質に事が運ばないばかりでなく、後々の不具合をも引き起こし兼ねません。設計事務所が最低限 行うことのできる実践的セルフビルドについて紹介します。

第16回目:所長とはなにか?

-建築家とは、単なる所長ではありません。どういう人格を持っていればよいのか、日常の些細な事柄にどう対処するべきなのか、スタッフたちとはどのような関係を築けばよいのか、等々についてです。

第17回目:ホームページデザインの方法(HTMLの書き方)

-ホームページを外注するには莫大な費用がかかります。よって、デザイン性を保ちながらも最低限 素人でできること、すなわちHTMLを書けるようになることでのホームページ制作について伝授します。

第18回目:設計者自身でできる竣工写真の撮影方法

-竣工写真もいつも設計事務所を悩ませるもののひとつでしょう。建築写真家に依頼すればその成果品が素晴らしい分、当然、費用はかかります。また正直な話、版権に費用がかかることもなかなか辛いものです……。それらは建築写真家の能力への対価ですから当然のことではあります。ただ、最近のデジタルカメラが高性能になってきたことにより、機械 ひとつあれば、ホームページに掲載できる程度のものが撮れるようになってきたことも事実です。竣工写真ビジネスもやっている前田紀貞アトリエでの、素人から始められる竣工写真の秘伝を伝授します。

 

こんなところが概要となります。

これから半年間、これらについての詳細が週ごとに明らかにされてゆきます。

 

私たちスタッフも、改めて体系的にそういう内容を聞くことができることを、とても楽しみにしています。

では、これから半年間、このブログ共々、どうか宜しくお願いいたします。

 

(前田紀貞建築塾塾生団体 AA)

前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/